◎疎遠な相続人との遺産分割の進め方


相続手続では「相続人全員の合意」が必要です。しかし、長年連絡を取っていない相続人や、他の相続人と関係が悪化している場合、あるいは異父(母)兄弟がいることが親の死亡後に判明した場合などは、遺産分割協議は難しくなることがあります。
本記事では、疎遠な相続人がいる場合の具体的な進め方と注意点を、実務の流れに沿って解説します。

1. まずは「相続人の所在確認」から始める
疎遠でも、相続人である以上、無視して手続を進めることはできません。最初に行うべきは「居場所の確認」です。


■所在確認の方法は、①戸籍・戸籍の附票を取得する、②住民票の除票をたどる、③手紙(内容証明が望ましい)を送る、④親族・知人から情報収集する、などが考えられます。
※住所が判明すれば、正式な通知が可能になります。

2. 最初の連絡は「感情より事務的に」
疎遠な相手ほど、最初の印象が重要です。
いきなり遺産の話をすると警戒されやすいため、冷静・中立・事務的な文面が望まれます。


連絡文のポイントとしては、①被相続人の死亡により相続が発生した事実、②遺産相続の権利があること、遺産分割には、相続人全員の協議が必要なこと、を伝える。③返信期限を設けて、話し合いに都合の良い日を知らせてもらうといった点を考慮して、次のような書面を郵送するのがよいでしょう。

例文(簡略)
「○年○月○日に○○が逝去しました。相続手続のためご連絡いたしました。遺産分割についてご相談させていただきたく存じます。ご都合のよい連絡方法をお知らせください。」

3. 対面よりも郵送・書面中心で進める

関係が薄い相続人とは、対面の機会を控え郵送・書面中心で進めた方が良いでしょう。

実際の進め方としては次のような流れになります。
①相続人確定(戸籍収集)
②財産調査(預貯金、不動産、株式・債権、車など)
③遺産分割案を作成し、書面で提案送付
④修正・調整


合意後、遺産分割協議書を作成し相続人全員が署名押印
※感情対立を避けるため「公平性の説明」が重要です。

4. どうしても合意できない場合
以下のようなケースでは、協議がまとまらないことがあります。
・返事が来ない、・話し合いを拒否される、・過大な要求をされる、感情的対立が強いなど。
どうしても全員の意見がまとまらない場合は、残念ながら家庭裁判所の手続(調停)に移行することになります。
遺産分割調停の特徴は、①裁判官+調停委員が間に入る、②法律ベースで整理される、③強制的に話し合いの場が作られる、といったことになります。
一部の相続人を「無視して進める」ことはできません。

5. 行方不明・連絡不能の場合
相続人の中に所在不明な人がいる場合は、次のようなプロセスを経て進めることができます。
対応方法
・不在者財産管理人の選任申立、・失踪宣告(長期間不明の場合)、・公示送達(裁判所手続)
※この場合は専門的手続になるため、専門家関与が望ましいです。

6. トラブルを防ぐ3つのコツ

すべての相続人が判明した場合は、疑念を抱かせないようにすることが大事です。
① 最初から公平な資料を出す → 財産一覧・評価額を明確に
② 感情的なやり取りを避ける → 書面・第三者を活用
③ 早めに専門家を入れる → こじれる前が重要

7. よくある失敗
疎遠な相続人を無視して手続を進めた → 無効になる
電話だけで合意した → 後から否認される
一部の相続人だけで分割した → やり直し
遺産分割は「相続人全員」での協議が原則、ということを忘れてはいけません。

無理に進めると、後から大きなトラブルになる可能性があります。慎重に進めましょう。

もし、相続人と連絡が取れない、遺産分割協議書の作成が不安、といったことでお困りの場合は、専門家が間に入ることでスムーズに解決できることが多くあります。
ぜひ、「行政書士サンライズ法務事務所」までお気軽にご相談ください。