◎遺言書の確認と検認について

自分の親などが亡くなり相続人間で遺産を分割する場合、まず最初にしなければならないことがあります。それは、亡くなられた被相続人が「遺言書を残しているかどうかの確認」です。

被相続人が住んでいた住居内だけでなく、生前親しかった知人・友人、あるいは弁護士、税理士、行政書士などの専門家に預けてあるかもしれません。
また、公正証書遺言書を作成して公証役場に原本が保管されていることや、2020年7月に開始された「自筆証書遺言書保管制度」を利用して、法務局に保管されている可能性も考える必要があります。

もし、遺言書の存在を知らずに遺産分割をしてしまうと、多くの時間や手間を費やした手続きが無効になり最初からやり直しになってしまう可能性が大です。
特に遺言書があるにもかかわらず、故意に隠したり破棄したりすると、刑事罰(私用文書等毀棄罪)の対象となり刑法259条により5年以下の懲役刑が科せられるかもしれません。
そして、相続人が遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合は民法891条に該当し、相続欠格者として相続人になる権利(相続権)をすべて失うこともあり得ます。

ですから、遺言書の捜索をおろそかにしてはいけないのです。

そして被相続人が書いた遺言書がないことが判明したら、相続人同士でよく話し合い遺産分割の方法を決めていけばいいのです。

では、遺言書を発見したときはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、自筆証書遺言書が自宅などにあった場合について解説いたします。

『自筆証書遺言書が、自宅など法務局以外の場所に保管されていた場合』

かならず、家庭裁判所に検認の申出をしなければなりません。裁判所で、遺言書の形式が法的に有効なことを確認しなければ、銀行預金の払い戻しや解約、不動産の名義変更ができなくなるからです。
もし、遺言書が封印されているときは要注意です。自分で開封してはいけません、家庭裁判所で検認期日に開く必要があります。


具体的なポイントは以下の通りです。
申し立てができる人: 遺言書を保管している人、または発見した相続人。
場所: 遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所。
対象となる遺言: 自筆証書遺言・秘密証書遺言(※法務局の保管制度を利用した場合は不要)。
注意点: 検認を申し立てずに開封したり、手続を無視して遺言を使用したりすると罰則(5万円以下の過料)がある。
相続人全員の立ち会い: 検認期日には出席の通知がいくが、全員揃う必要はなく、一人でも実施可能。 

そして、遺言書の有効性が認められれば、遺言書の内容に従って遺産分割の手続きを進めることができます。

『法務局や公証役場に遺言書が保管されていた場合』
自筆証書遺言書が法務局に保管されていた場合や、公正証書遺言書が公証役場に保管されていた場合は家庭裁判所での検認手続きは不要です。なぜなら、自筆証書遺言書保管の際や公正証書遺言書作成の際に、遺言書保管官や公証人が遺言書の形式的な有効性を確認しているからです。


このため、相続発生後ただちに相続手続きに着手できます。